上司な同期は激甘サンタ
どんな魔力があるのか、木崎君との約束は破っちゃいけない気がする。

彼氏が残業になったという友人から来た食事の誘いも断り、真っ直ぐ帰宅した。



でも帰宅して部屋着に着替えた辺りで怒りが湧いて来た。

折角、友達から誕生日を祝ってくれると連絡が来たのだ。なんで来もしないサンタを理由に断ったりしたんだろう。
木崎君も木崎君だ。彼にとってはたわいもない言葉遊びかもしれないけど、私にとっては大きな問題なのに。


誘いを断ったのは自分なのに、木崎君への怒りがおさまらない。


大体、勇気出した誘いも断ったくせに。

地味なのに凄くモテるくせに。いつもスーツが似合うくせに。チタンフレームの眼鏡が仕事中は知的で格好良いくせに。そのくせ笑うとすごく優しくて柔らかく笑顔なくせに。ただの同期の私にあんなに甘く笑いかけるくせに。


文句を言いながら、私の目からはポタポタと涙が溢れていた。
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