花京院社長と私のナイショな関係
「汚れた土地の場所を聞いてくれ」


言われる通りにまた地縛霊に問うと「われの森…とよみの沢…ふたごの山…」という返事。
社長に伝えるとまた考え込んでいる。


「どうした、篤人」

「いや…渡社長の会社の業績が悪化したのは、大型商業施設の建設を始めた頃からだ。時期を考えると、もしかしてあそこが地縛霊のものだったんじゃないかと思ったんだ」

「おお、そういやこいつ、土地神の匂いしてんな。なあ?」


なあ?とおっさんに同意を求められたけど、土地神の匂いとか知らんがな。

「いや…違うな。あそこじゃない。商業予定地は都市部だ。沢も森も山もない」

「昔あったとか?」

「臨海地区だ。元は海の埋立地に沢や山はない。となると別に開発をしている場所か…」


ううむ。臨海地区って土地神様っているのかな。都市部なら何度も壊されてどんどん開発されてきたような気がするけど、今更汚されたって怒ってとり憑くかな。じゃあいろんな人にとり憑いてきたってこと?そもそも地縛霊と土地神って違いがわからん。

うーん、とない頭をひねっても思いつかない。


「自分ちにゴミでも捨てられて怒ったんですかね?」

とりあえず地縛霊に聞いてみようとしたら「それだ!」と社長の声。


「渡社長の持つ関連会社に産廃中間処理業の会社がある。それに関東近郊の山間部に土地を多く所有していたはずだ。どこかの場所を別の事業で開発しているか、もしくは産廃かもしれない」
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