花京院社長と私のナイショな関係
産廃。産業廃棄物。

建設現場で出た産業廃棄物を適切に処理をせず投棄しているのでは?というのが社長の推測。

地縛霊、もとい土地神様に汚れた土地のことを聞いてみたけど、片言で聞き取りにくい言葉が多くて詳細は分からなかった。
汚い、返せ、森、水、という聞き取れた単語だけでも予想はつくのだけど。

気絶していた渡社長を揺り起こして社長が詰め寄ると、最初こそ誤魔化していたけど産廃のことを出すと真っ青になって顔を引きつらせた。

「何のことだ?私が産廃処理会社を持っているからと言って変な言いがかりをつけおって!だ、だいたい今回の件と関係ないだろう」

「そう。関係ないんですよ、我が社には。これはおせっかいです。困っていらっしゃるあなたを助けるために伺っているんですよ」

「じゃ、じゃあ助けてくれるなら出資と提携を」

「それでは意味がありません。根本的に解決しましょうと言っているんです。渡さん、沢と2つの山に囲まれた地区に自然破壊をするような開発か不法投棄をしていませんか」

「し、知るか!何を言ってるんだ君は!」


渡社長はふいっと横を向いて話す気はなさそうだった。
助けましょうって言われても、黒い事情があれば話せないんだろうな。


「しゃあないな。まどか、土地神をこいつに視せてやれ」

「え?視せる?どうやって?」

「土地神の手ぇ握って、もう片方の手で、渡んやつの人差し指とお前の人差し指を先っぽでくっつけるんや」


こう、とおっさんがレクシャーしてくれた恰好は、OLがおじさん(しかも他企業の社長)とやるには酒の席でもないと難しい、仲良しポーズだった。
しかも片手は地縛霊とお手て繋いでとか。なんですかそれ。

でも、上司の指示だし仕方がない。
渡社長の元に行って指を出させ、微妙に恥ずかしい謎のポーズをしながら、背中に戻った地縛霊には渡社長の隣に並んでもらい、手らしき辺りを掴んだ。

途端、どっと氷水が体に流れ込んだような感じとともに、寒気で倒れそうになった。地縛霊と繋いだ手だけが熱を持っている。

「…!!な、なん…!!」

渡社長に驚愕の色が浮かび、目を見開き顎を落として絶句した。
どうやら地縛霊が視えたらしい。

「渡社長。あなたに、この霊が憑いてます」

「は!?な、なにを言って…!」

「こちらの地縛霊、または土地神様がですね、あなたに土地を汚されたと怒ってらっしゃるんですよ。とよみの沢とふたごの山がある場所に心当たりないですか?」

「…、ば、ばかな!篤人くん、この女はなんだ!おかしなもの見せやがって。手品か!?ふ、ふざけるな!」


ですよねー。
普通の人はそう思うよね。手品だったらよかったんですけど。
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