花京院社長と私のナイショな関係
社長室に入ると、篤人さんはデスクトップに向かっていた。おっさんはどこかに行っているのか姿が見えない。
久しぶりに会う篤人さんは、あまり休めていないのかやつれて見える。
寝てないのかな。ちょっと痩せたかも。鼻の奥がキンと痛んで泣きそう。
篤人さんは私なんか全く気にならない様子で、モニターに目をやったまま「すぐ終わるから座ってて」とだけ言った。奥を見ると応接用のソファに先客がいる。
「…星野くん」
星野くんにはあの会議から何度も連絡したけど、着拒されてずっと話せていなかった。
事の真相はどうなんだろう。
お金目当て?振られた腹いせ?それにしたって情報漏洩なんて犯罪に私を巻き込むなんて酷すぎやしないかと思う。
負の感情って怖い。あの時、すごく良い人な星野くんも簡単に黒いものに支配されていた。
黒い靄は浄化できないままだったけど、時間が経って感情に変化があったのか、この前よりも量が少なくなっている気がする。
…もしかして、星野くんは正気に返って本当のことを話すために社長に会いに来たとか?
「まどかちゃん。そんな期待したような顔したって無駄だよ。何も変わらないから」
声の抑揚も少なく無表情な星野くんの背後に黒い靄がぶわっと巻き起こった。
靄、減ってないし。むしろこの前より増えてるし。この前より量が少ないなんて私の目は節穴か。
希望をばっさり否定されてげんなりしたけど、何としても黒い靄を祓って、私の身の潔白を証明してもらわないと困る。
だけど、星野くんの手を掴もうと自分の手を伸ばした瞬間「やめろ」と篤人さんの声に止められた。
「星野より先に片付けるべき相手はいる」
篤人さんはデスクを離れ私たちの前のソファに座ると、ゆったりと脚を組み、静かに笑った。
「そうだろ?長月」
久しぶりに会う篤人さんは、あまり休めていないのかやつれて見える。
寝てないのかな。ちょっと痩せたかも。鼻の奥がキンと痛んで泣きそう。
篤人さんは私なんか全く気にならない様子で、モニターに目をやったまま「すぐ終わるから座ってて」とだけ言った。奥を見ると応接用のソファに先客がいる。
「…星野くん」
星野くんにはあの会議から何度も連絡したけど、着拒されてずっと話せていなかった。
事の真相はどうなんだろう。
お金目当て?振られた腹いせ?それにしたって情報漏洩なんて犯罪に私を巻き込むなんて酷すぎやしないかと思う。
負の感情って怖い。あの時、すごく良い人な星野くんも簡単に黒いものに支配されていた。
黒い靄は浄化できないままだったけど、時間が経って感情に変化があったのか、この前よりも量が少なくなっている気がする。
…もしかして、星野くんは正気に返って本当のことを話すために社長に会いに来たとか?
「まどかちゃん。そんな期待したような顔したって無駄だよ。何も変わらないから」
声の抑揚も少なく無表情な星野くんの背後に黒い靄がぶわっと巻き起こった。
靄、減ってないし。むしろこの前より増えてるし。この前より量が少ないなんて私の目は節穴か。
希望をばっさり否定されてげんなりしたけど、何としても黒い靄を祓って、私の身の潔白を証明してもらわないと困る。
だけど、星野くんの手を掴もうと自分の手を伸ばした瞬間「やめろ」と篤人さんの声に止められた。
「星野より先に片付けるべき相手はいる」
篤人さんはデスクを離れ私たちの前のソファに座ると、ゆったりと脚を組み、静かに笑った。
「そうだろ?長月」