花京院社長と私のナイショな関係
「何のお話?」
話を振られた雪乃さんは、可愛らしく首を傾げた。
「上手く隠しているようだが、ときどき漏れてんだよ。黒いドロッとしたものが」
ぎょっとして雪乃さんを見るけど、そんなものは視えない。何?ドロッとしたのって。
「まどか、こっちに来い」
「へ?」
篤人さんが何をしたいのか分からない。
言われるがまま傍に行くと、ぐいと手を引っ張られ、膝の上に乗せられた。…え?
「なぜだか俺が長月と結婚する話になってるが、俺の恋人はこいつだ。嘘の話をばら撒くのはやめてくれないか」
「嘘?どうして?私との結婚はサニーとの再契約に必要な条件でしょう」
「再契約?ああ、欲しくもない女に熨斗つけて押し付けてきた上に、上から目線で再契約をちらつかせてきたあのことか?断るに決まってるだろう。俺にはまどかがいるのに」
そう言って篤人さんは、私の頭のてっぺんとこめかみにキスを落とした。
人前でいちゃついて恥ずかしいというのと、雪乃さんとの結婚と再契約の話で頭が混乱してくる。
え?ちょっと待ってついていけない。10日も音沙汰なかったよね?LINEすら既読スルーだったよね?
「…離れなさい」
雪乃さんの口からこぼれた小さな声は、氷のように冷え冷えとしていた。
小さな顔は青白くこわばり、全身が小さく震えている。
大きく見開いた目は赤く血走って、怖い。その顔は昔見た般若のお面を思い出させた。
「ゆ、雪乃さん?」
「離れなさい汚らわしい。篤人さんに触れていいのは私よ。私だけよ!」
とても雪乃さんが発したとは思えない、耳が痛くなるような大声。
ゆらりと立ち上がった雪乃さんがテーブル越しに私に向かって手を伸ばしてきた。
その瞬間、雪乃さんの細くてしなやかな指や華奢な体の後ろから、真っ黒な、どろっとしたものが飛び出してくる。
黒のドロドロって新しいバージョン―――――!!!
超気持ち悪い―――――!!!
話を振られた雪乃さんは、可愛らしく首を傾げた。
「上手く隠しているようだが、ときどき漏れてんだよ。黒いドロッとしたものが」
ぎょっとして雪乃さんを見るけど、そんなものは視えない。何?ドロッとしたのって。
「まどか、こっちに来い」
「へ?」
篤人さんが何をしたいのか分からない。
言われるがまま傍に行くと、ぐいと手を引っ張られ、膝の上に乗せられた。…え?
「なぜだか俺が長月と結婚する話になってるが、俺の恋人はこいつだ。嘘の話をばら撒くのはやめてくれないか」
「嘘?どうして?私との結婚はサニーとの再契約に必要な条件でしょう」
「再契約?ああ、欲しくもない女に熨斗つけて押し付けてきた上に、上から目線で再契約をちらつかせてきたあのことか?断るに決まってるだろう。俺にはまどかがいるのに」
そう言って篤人さんは、私の頭のてっぺんとこめかみにキスを落とした。
人前でいちゃついて恥ずかしいというのと、雪乃さんとの結婚と再契約の話で頭が混乱してくる。
え?ちょっと待ってついていけない。10日も音沙汰なかったよね?LINEすら既読スルーだったよね?
「…離れなさい」
雪乃さんの口からこぼれた小さな声は、氷のように冷え冷えとしていた。
小さな顔は青白くこわばり、全身が小さく震えている。
大きく見開いた目は赤く血走って、怖い。その顔は昔見た般若のお面を思い出させた。
「ゆ、雪乃さん?」
「離れなさい汚らわしい。篤人さんに触れていいのは私よ。私だけよ!」
とても雪乃さんが発したとは思えない、耳が痛くなるような大声。
ゆらりと立ち上がった雪乃さんがテーブル越しに私に向かって手を伸ばしてきた。
その瞬間、雪乃さんの細くてしなやかな指や華奢な体の後ろから、真っ黒な、どろっとしたものが飛び出してくる。
黒のドロドロって新しいバージョン―――――!!!
超気持ち悪い―――――!!!