bajo la luz de la luna
それから“天使”は、ずっと夢だった歌手のオーディションを受けた。実は幼い頃にも同じ会社でオーディションを受けたのだが、書類審査すら通らなかったそうだ。
新しくなった自分にはみんながペコペコする。かつて道端で見知らぬ人にさえ罵倒されていた少女には信じ難いことだった。だから当初はとても困惑したのだ、と。
『初めの内は、チヤホヤされることが嬉しかったわ。だって初めての経験なんだもの。見た目が変わるだけで人からの視線も変わるなんて、これからの人生は薔薇色だって思った。
……でも、ある日気が付いたのよ。結局人間は“美しいものを愛でて醜いものを排除する”んだ、って。私は私で、外見こそ変わったけど、中身は何にも変わってないのよ?なのに……世界はいとも簡単に態度を変えるのね。』
涙が滲んできそうな二つの大きな瞳が、漸くアタシの方を向いた。大勢が居た中で、彼女は何故かアタシを選んだのだ。
ゆっくりと瞬きをするアンヘラ。涙がこぼれない代わりに、桜色の唇から切ない哀音が洩れた。
『……あなたが羨ましい。こんなに美人に生まれていたら、私はもっと素敵な女の子になれたかもしれない。』
新しくなった自分にはみんながペコペコする。かつて道端で見知らぬ人にさえ罵倒されていた少女には信じ難いことだった。だから当初はとても困惑したのだ、と。
『初めの内は、チヤホヤされることが嬉しかったわ。だって初めての経験なんだもの。見た目が変わるだけで人からの視線も変わるなんて、これからの人生は薔薇色だって思った。
……でも、ある日気が付いたのよ。結局人間は“美しいものを愛でて醜いものを排除する”んだ、って。私は私で、外見こそ変わったけど、中身は何にも変わってないのよ?なのに……世界はいとも簡単に態度を変えるのね。』
涙が滲んできそうな二つの大きな瞳が、漸くアタシの方を向いた。大勢が居た中で、彼女は何故かアタシを選んだのだ。
ゆっくりと瞬きをするアンヘラ。涙がこぼれない代わりに、桜色の唇から切ない哀音が洩れた。
『……あなたが羨ましい。こんなに美人に生まれていたら、私はもっと素敵な女の子になれたかもしれない。』