bajo la luz de la luna
『俺はその理由を聞いてるんだ。それだけキレるんなら理由の一つや二つくらいあるんだろ?
答えねぇなら、吐かせる方法もいくらだってあるぞ。生憎俺は、物騒な女には優しくしない主義なんでな。』



 凍った笑みを浮かべ、女の頭頂に手を置いて無理矢理自分へ顔を向けさせる群は、彼女の髪の毛すら掴みかねない表情だ。あぁ、彼もやっぱりマフィアだった。何故かホッとしている自分を心で嗤(わら)い、視線でガルシアを後ろに下がらせて、群と女に近付いた。



『アンタ、アンヘラに何の恨みがあるの?』

『恨みなんてもんじゃないわ!殺意よ殺意!!この整形女は目障りだわ!!』

『暴言は慎んで。暴れると撃つわよ?』



 銃口を頭に当ててやると、面白い程静かになった女。勿論撃つ気などなかったのだけど、周りの客達が怯えていたので仕方なく銃を引っ込めてやった。



『アンタ、アンヘラとどういう関係?まさか昔の……』

『やめて!早くその人を追い出して!!』



 何の前触れもなく叫んだのは歌姫だった。彼女の愕然とした表情からして間違いない――この水色ドレスの女は、昔アンヘラをいじめていた奴らの一人だ。
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