bajo la luz de la luna
 ファルコンに睨まれては、流石のエセヤクザ・クリスさんも身動きが取れないらしい。ルッツさんがピューッと口笛を吹いたのに片手で応え、群は問う。



『彼女の携帯に、テレビ電話の機能は付いてるか?』



 彼の問いには、被害者の父親らしき人から『あります。僕の携帯から繋ぐことも可能です』との返事。群は満足げに微笑した。



『彼女がルッツさんの顔を見て取り乱したら“黒”、変化なしなら“白”。そういうことだ。もし“黒”なら酷なことをしちまうが、今ここで判断する方法はこれしかねぇな。
彼女に繋いでくれるか?まずは父親が出てやると良い。それからルッツさんの姿を見せてやってくれ。』



 被害者の父親は随分悩んだようだったが、意を決して携帯のボタンを押す。顔から30センチ程離された大きめの画面には、やがて年頃の可愛らしい赤毛の少女が映った。腰まで伸ばされた髪はまっすぐで、頭の右側には造花の飾りピンが付いている。



『パパ!久し振りね!!突然どうしたの?』



 嬉しそうに早口のドイツ語で言う赤毛の女の子。互いに仕事のことや学校のことを話した後、遂に父親が行動に出る。
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