bajo la luz de la luna
 美しき国・イタリアを薄暗い沈黙で支配したもめ事が、漸く解決された。くだらない争いはやめて早く帰ろう。シュヴァルベとヴォルケ、双方がそう和解した、その時だった。



『……ボス!応援に来たぜ!!オレ達が居れば、シュヴァルベなんかイチコロだー!!』



 駆け足で突然現れたランプブラックの作業着集団は、ヴォルケの特攻隊だろう。その煤(すす)色の人影達を見て、クリスさんは苛ついたように舌打ちした。



『チッ、連絡を入れる前に到着したか……おい、お前達の出番はナシだ!さっさと帰れ!!例のシュヴァルベの件は誤報だ!!』

『何だって?ボスに言われてすぐに飛んできたのに……』

『ヴォルケの誰かが大怪我したっつーのも誤報みたいっすねぇ。』

『つべこべ言わずに本部へ戻れ!大体、私はこんなに大人数を呼んだ覚えはないぞ。』



 特攻隊のリーダーらしき人が後ろに向かって『おーい、引き上げるぞ!』と叫ぶ。しかし、騒然としている中で彼の声は上手く届かない。クリスさんが再び舌打ちをした次の瞬間――いくつもの弾丸が、乱射音と共にルッツさんへ襲いかかった。咄嗟に身を翻す彼を、弾が容赦なく追いかけている。
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