bajo la luz de la luna
『やめろ!やめろと言っているだろう!!』



 痺れを切らしたらしいクリスさんが、隊員達の中へ割り込んでいく。彼らの抱えた武器を乱暴に地面へ投げ捨てて、力ずくで止めに入った。驚いた隊員達はすぐに攻撃をやめたが、まだ一人だけ、執拗にルッツさんへ銃を向けている者が居る。



『お前、やめろと言っているのが聞こえないのか?』



 クリスさんの注意を無視し、その男は何と銃を乱射し始めた。クリスさんの足元へ弾丸が飛び、すんでの所で彼はよける。



『……おい、あんな奴ウチの隊員に居たか!?』

『いんや、見たことねぇ!もしやスパイじゃ……』



 弾を避けながら叫ぶヴォルケの人達。この事件は誰かが故意に起こしたものかもしれない。そう思った時、弾丸がアタシの元にも飛んできた。ガルシアとグレイとソニアが敵をアタシから遠ざけようとして発砲してくれるが、奴は怯む様子がない。絶妙なタイミングで攻撃をかわし、尚且つアタシ達に発砲してくる。



『埒が明かねぇな……』



 呟いた誰かの胸に抱き寄せられたと思った一瞬間後。低いコントラバスの声が静かに響いた。



『……お前は見るんじゃねぇぞ。』
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