bajo la luz de la luna
『お嬢様、雨脚が激しいです。早く戻りましょう。』



 ガルシアの一言に頷こうとしたけれど、群のことがとても気がかりになった。この男を、今は一人にさせたくない。そんな思いが頭を占める。



『ボス。群さんが心配なら、イタリアに残ったらどうだ?こいつが何者なのかはオレ達が調べておくから、ボスは休みを取っててくれ。たまには仕事から離れることも必要だぜ!』



 ニッと口角を上げ、スペイン語でグレイ。しかし、アタシが本部に戻らなかったら色々と面倒なのではないだろうか。そう思っていると、グレイに続いてソニアが言う。



『そうね、良い考えだわ。後で迎えに行くから、二、三日イタリアで過ごしたらどう?何かあったら、ガルシアを通して連絡ちょうだいよ。』

『でも……アタシが不在だとみんなに迷惑がかかるわ。』



 アタシの答えに不満げなソニアを一瞥して、ガルシアを見る。彼は面倒臭そうに溜め息をこぼし、こう告げた。



『わたくしは、構わないと思いますが。お嬢様がそうおっしゃるなら、頻繁にスペインへお越しになる群様のことはどう説明致しましょうか?』
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