bajo la luz de la luna
 非常に皮肉が隠った台詞だが、“群と共に居てやれ”と後押ししてくれているのは確かだ。『俺を例えに使うなよ』と苦情を洩らす群を無視し、ガルシアは続ける。



『ですから、お嬢様が数日間本部をお離れになろうが、問題はないということです。ローサの者達は優秀ですので、ボスの信頼を裏切ることはまずあり得ないと思いますが。』

『……ええ、そうね。じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうわ。グレイ、ソニア。頼んだわよ。』



 アタシが言うと、二人は『勿論!』と言って親指を立てる。そのやり取りを聞いて安心してくれたのか、エンゾさんが群の一歩後ろから喋り始めた。



『お嬢さんがそうおっしゃってくれて良かったです。ウチのボスはご覧の通り難しい方ですので、何卒よろしくお願い致します。
チェーロでも、この不審者について調べてみますね。そちらの科学捜査班と協力すれば、きっと上手くいく筈です。』



 イタリア人の彼だが、とても流暢なスペイン語で話してくれた。それから群が銃乱射男の遺体を部下達に運ばせ、捜査に回す。アタシとガルシアはグレイ達と別れ、チェーロのジェット機に同乗させてもらった。
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