bajo la luz de la luna
「……タイトルの付け方が上手いわね、彼女。」

「だろ?他の作品も本で見たんだが、どれもぴったりで驚かされたよ。まるで“その絵のためにその言葉が存在する”みたいだよな。」



 彼女のことを語る棕櫚の目は、とても穏やかだ。故人に嫉妬心を燃やしても仕方ないけれど、苛々してしまうのが性。そんな自分が酷く嫌になる。黙り込んでしまったアタシに視線をよこし、群はフッと笑い声を洩らした。



「ヤキモチか?心配するな、彼女は憧れだ。」

「……前に言っていた色に関する知識も、彼女が言ったこと?」

「あぁ。だから、未来の“赤好き”は少しばかり厄介なんだよな。」



 ニヤリ、いやらしい笑みを向けてきた男の腹部に、素早く拳をねじ込んでやる。が、残念なことに、アタシの拳は彼の掌によってそれ以上の攻撃を阻まれる。



「今度は照れたのか?忙しい女だな。」

「そういうアナタは腹立たしい男だと思うけど?」



 静かに飛び散る火花に焦る、周りの者達。楽しそうなエンゾさんと溜め息をつくガルシアを除き、アタシ達のバトルが始まるのではないかと不安を露にしている。そんな心配は、勿論ないのだけど。
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