bajo la luz de la luna
みんなの視線を一心に受けながら、“9”と書かれた球に狙いを定める。標的は直線上にあるのだから、まっすぐ打てば良いだけの話じゃないかと言われるかもしれない。だけど、それは意外と難しいのだ。まっすぐを笑う者は、いつかまっすぐに泣くだろう。
息を潜めてキューを引き、白い手球を撞いた。指を鳴らすような軽い音の後、ゴトリという鈍い音。ソニアの歓声が、小さく部屋にこだました。
『やった……!』
パチパチという拍手は、忠実な部下達とチェーロの面々から起こったもの。ふと目をやると、対戦相手である我が婚約者も手を叩いてくれていた。
『なかなかやるじゃねぇか。そろそろ本気でやらねぇとマズイな。』
口角を上げた妖艶な笑みが目に入り、思わず体が強張る。勝負事を前にした彼はこんな顔をするのか……と何処か冷静に考えていた自分も居たのだけど、背筋を通る寒気を感じ、体を抱えるようにして両腕をさすった。
室内を見回すと、誰もが表情を堅くしている。多分、アタシと似たような気持ちを味わったのだろう。艶(あで)やかなあまり恐ろしさを感じさせる笑みに怯えたのか、酷く汗をかいている人が何人も居た。
息を潜めてキューを引き、白い手球を撞いた。指を鳴らすような軽い音の後、ゴトリという鈍い音。ソニアの歓声が、小さく部屋にこだました。
『やった……!』
パチパチという拍手は、忠実な部下達とチェーロの面々から起こったもの。ふと目をやると、対戦相手である我が婚約者も手を叩いてくれていた。
『なかなかやるじゃねぇか。そろそろ本気でやらねぇとマズイな。』
口角を上げた妖艶な笑みが目に入り、思わず体が強張る。勝負事を前にした彼はこんな顔をするのか……と何処か冷静に考えていた自分も居たのだけど、背筋を通る寒気を感じ、体を抱えるようにして両腕をさすった。
室内を見回すと、誰もが表情を堅くしている。多分、アタシと似たような気持ちを味わったのだろう。艶(あで)やかなあまり恐ろしさを感じさせる笑みに怯えたのか、酷く汗をかいている人が何人も居た。