bajo la luz de la luna
 ソニアは白いワイシャツの上に丈が短い黒のベストを着て、細身の彼女によく似合うグレーのジーンズを穿いている。首にはラメが入った黒いストールを巻いていて、まるでハリウッド女優の休日のような格好だ。

 グレイは、濃い灰色に赤いチェックの入ったお洒落なパンツをメインにしたシンプルなファッション。黒のハイネックセーターを合わせた可愛いらしい着こなしになっている。胸の辺りまで伸びた銀髪は、一つに束ねられていた。

 二人やアタシ達は普段と違う装いなのだけど、ガルシアとエンゾさんはいつもと変わらないスーツ姿だ。『私達は、あくまで側近と秘書ですから』と言って微笑を浮かべるエンゾさん。でも、彼のネクタイが“よそ行き”に変わったということに、アタシはちゃんと気付いていた。



『エンゾさん、そのネクタイ素敵ね。薄ピンクに赤と黒のタータンチェックなんて、なかなかないわよ。とても可愛いわ。』

『ありがとうございます、お嬢さん。実は娘からのプレゼントでして……』



 エンゾさんは、群に『こいつは相当の親馬鹿だぞ。この前は娘と電話で二時間話してた』と言われ、小さく笑う。彼の娘は確か、群より少し年上だった筈だ。
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