bajo la luz de la luna
 金文字で“Ciao!”と書かれた、木製のドアを開ける。落ち着いた雰囲気の室内は奥行きがあって、淡いライトがくつろげる空間を演出している。店主の趣味なのか、壁には所々風景写真が飾られていた。

 群はアタシの手を引くと、奥に居るオレンジ色の髪をした50代くらいの男性の元へ連れていった。群の流暢なイタリア語が、店内に流れるクラシックへ違和感なく溶け込んでいく。



『モンテさん、久し振り。遊びに来たぜ。』

『おっ、群じゃないか!今日はまた、違ったメンツだなぁ。そっちの嬢ちゃんが噂の恋人かい?』

『あぁ。実はさっきちょっとしたゲームをやったんだが、可愛い恋人に負けちまってな。こいつらに飯を奢らなきゃならなくなったから、よろしく頼むぜ。』



 群の言葉に、『そりゃあ良い!わしが嬢ちゃん達にとびきりのごちそうを作ってやろう』とモンテさん。席に案内してくれた彼が特別にメニューにないものも作ってくれると言うので、アタシ達は揃って頭を下げた。

 ――そうだ、良いことを思いついた。アタシはみんなに断って、モンテさんの背中を追いかける。あることを耳打ちしたら、彼は人懐っこい笑みを浮かべて賛成してくれた。
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