bajo la luz de la luna
 丁度良い頃合いで運ばれてきたのは、パッパルデッレという平たいロングパスタを猪肉のソースで味付けしたものや、伊勢エビのリゾット。それから、サーモンのタルタルソース和えや、彩りの良い野菜が盛り付けられたサラダなどが運ばれてきた。

 どれも美味しそうで、食通のグレイは人一倍ソワソワしている。モンテさんの『さぁ、召し上がってくれ!』という声で、それぞれが思い思いの料理に口を付けた。



『……ウマイ!このパスタ凄くウマイぞ!!』

『あら、本当ね!ちょっとガルシア。サラダばっかり食べてないで他のも食べなさいよ!』

『いちいち指図しないで下さい。まるで口煩い姑のようですよ。』

『何ですってー!?』



 イタリアに居てスペイン語で口論すると、何て目立つのだろう。イタリアの人達が感じている煩さは、アタシのより酷いに違いない。部下達の争いは他の客に迷惑なので、視線で“黙りなさい”と伝える。二人は渋々静かになったけれど、まだ小さく火花を散らしていた。

 ――お腹が膨れてくると、お皿は綺麗さっぱり空(から)になっていた。エンゾさんがみんなの食べっぷりに感心していた、その時。アタシの秘密計画が、実行に移された。
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