bajo la luz de la luna
『ボスー……日本語全然分かんないわよっ!そろそろ他の言語に切り換えて!!』



 痺れを切らしたらしいソニアが、『外国語で甘い雰囲気になられても、経緯が分からないからチンプンカンプン!』と続けた。グレイとエンゾさん、モンテさんが大きく吹き出す。群が『そりゃ悪かったな、ソニア。ガルシアも退屈そうだし、そろそろ帰るか』と言えば、我が秘書は『甘すぎる恋愛映画みたいで疲れました』とこぼす。アタシはテーブルの上で『あら、それはごめんなさい』と口にして、テーブルの下では奴の足を蹴飛ばしておいた。

 会計を済ませてくれた群にみんなでお礼を言い、エンゾさんの運転でチェーロの屋敷に戻る。帰りの車の中では、感じの良い英語の曲がずっと流れていた。



「……明日の朝、ここを発とうと思うの。本部を空けるのはあまり良くないことだし。」

「あぁ、そうだな。心配させて悪かった。明日は俺も見送りに行く。」



 夕食も終え、カーテンの隙間から差し込む月明かりを頼りに、早めにベッドへ横になったアタシ達。次はいつ会えるのだろう。これから暫くはまた、離ればなれになってしまうのかもしれない……そう思いながら、ふと群の横顔を見やる。
< 193 / 268 >

この作品をシェア

pagetop