bajo la luz de la luna
 ――あぁ、やっぱり妹が二人に増えた気分だわ。心の中の呟きが外に出ないよう、微笑だけを残す。アタシは家系柄、彼女達のように思いきり笑ったことはない。それでも感情が麻痺してしまわないのは……“闇の中にある微かな光”が、いつもアタシ達を照らしてくれるからだ。



『リラ、今日はウチでご飯を食べていったら?』

『えっ、良いんですか!?』

『素敵なアイディアね、未来!私も賛成!!』



 同い年くらいの女の子と一緒に食卓を囲めるならイリスも喜ぶだろう、と考えたのは大当たりだったらしい。初めは迷惑になるからと渋っていたリラだったが、イリスの熱が籠った勧誘に負け、『実は一緒にお食事してみたかったんです。今お母さんに電話しますね!』と弾んだ声で言った。彼女が通話している間、アタシとイリスは小さく親指を立て合った。

 ――旅行中の両親に代わり、アタシが晩餐の音頭を取った。体が温まるソパ・デ・カスティージャ(ハムとニンニク、パンが入ったスープ)や鶏肉と野菜のパエジャ、可愛い客人をもてなすプチ・チョコパフェを頬張るみんなの顔には笑みが宿っている。

 だけど……休戦期間は、間もなく終わりを迎えようとしていた。
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