bajo la luz de la luna
『お前、秘書失格だな。』



 何処か憂いを秘めた視線を含んだ群が、冷たい台詞を発する。何もそこまで言わなくても。そう思ったのだけど、いつも周りのことを考えて行動している彼らしくない言葉に驚いて、反論すら出来ない。

 すると、その時。アタシの耳に、もう一つの信じられない台詞が飛び込んできた。



『……黙れ!』



 ――今のは本当に、いつも抑揚のない口調で淡々と話す我が秘書の言葉だったのだろうか。嫌みなことは言っても、決して暴言は吐かない我が秘書の言葉だったのだろうか。

 あまりにも、感情が表れすぎている。怒りに震えたその声に、群の口角がニヤリと上がった。



『とうとう本性現しやがったなぁ。俺にそんな口利いて良いと思ってんのか?』

『煩いな……全て分かったような顔して、腹が立つんだよ。』

『分かってるから笑えるんだろ?つーか、いい加減言葉遣い直せよ。未来にもそんな口利くつもりか?』



 何なの、この状況は。どんなに殺伐とした雰囲気にも耐えられる自信があったアタシでも、居づらいと感じてしまう空気。触れたら肌が切れてしまいそうなくらいピリピリとしていて、鋭利な刃物に似ている。
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