bajo la luz de la luna
 とにかく、こんな無礼な態度のガルシアは見たことがない。彼の気持ちは分からないが、すぐにやめさせなければと思った。何より、彼と群が言い争いをしている姿など見たくない。



『ガルシア、やめなさい。アタシの有能な秘書は、目上の者に敬意すら払えない馬鹿になったのかしら?
群もよ。いつもアタシに言っているクセに、感情を剥き出しにするなんてアナタらしくない。』



 アタシの一言で、二人の間に流れる空気の悪さが少しだけ和らいだ。群が小さく溜め息をついて、落ち着いたコントラバスのようなトーンを響かせる。



『……ガルシア、悪かった。ちょっと一緒に来てくれねぇか?
未来、お前はそこに居ろ。俺らの会話には口を挟むなよ。』



 アタシの頭をポンポンと二回叩いて、群はガルシアをドアの外に連行した。どうやら二人だけで話したいらしい。それなら外出すれば良いのにと思ったのだけど、アタシの体調を心配してくれているのかもしれない。

 あのまま殺り合わなくて、本当に良かった。そうなりかねない雰囲気だったのだ。アタシは、群が折れてくれたことに心底胸を撫で下ろした。
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