bajo la luz de la luna
 聞いたことのない、確かな愛情に満ちた声だった。彼の思いに気付いてやれなかったことが悔しくて、目頭が熱くなる。



『……一つだけ、聞きますね。どうして分かったのです?』

『そりゃあお前……未来の前だとオーラが丸くなるからな。知ってたか?』

『それはあなたも同じでしょう。頬が緩んでしまって、ボスの威厳も何もありませんよ。』



 いつもの憎まれ口が戻ってきたガルシアに、『おいおい、言ってくれるなぁ?』と群。やはりアタシの秘書は、こうでなければ。きっと群も、そう思っていることだろう。



『未来。ちゃんと聞いてたよな?』

『……ええ。』

『お前、これを聞いてガルシアへの態度を変えたら怒るからな。今まで通りに接しろよ。避けるのも、意識すんのもナシだ。』



 最後に付け加えられた一言から嫉妬の念を感じて、思わず笑ってしまう。『笑い事じゃねぇ』と言って、至極真面目な顔で部屋に入ってきた彼。その後ろには我が秘書が立っている。彼はアタシと目が合うと、ばつが悪そうに視線を逸らした。

 あら、なかなか可愛いじゃない。そう口には出さず、別の言葉をかける。
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