bajo la luz de la luna
 即座に放った弾丸が、フランシスコの銃に当たる。その衝撃に耐えられなかった奴が手を放してしまうと、黒い武器は音を立てて地面へと落下した。訝しげな黒目が、アタシを見やる。



『……何の真似だ?』

『銃を使っている内は“本当の実力”じゃないわ。素手で勝負しましょうよ。』

『ガキのクセに生意気な……まぁ良い。お前の望み通りにしてやるとしよう。』



 何かにつけて上から物を言う奴だ。反論しようかと思ったけれど、面倒なので頷くだけにしておいた。

 うるさい婚約者には“話し合い”にしろと言われたけど、アタシには無理だった。フランシスコが交渉で納得するとは思えないし、アタシも素直に“はい”とは言えないからだ。

 力が全てと考えてはいないけど、この世界ではある程度の権威が必要になる。それに加えて“人より秀でた何か”、もしくは“人とは違う何か”を持つ者がトップに立てると、アタシは思うのだ。



『勝った方が上に立つということで良いんだな?』

『ええ。』



 短いやり取りを交わすと、アタシ達以外のみんなが場所を空け、戦闘スペースを作ってくれる。グレイが出してくれた発砲音を合図に、戦いが幕を開けた。
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