bajo la luz de la luna
『良いのか?僕を殺せば、ボス自らファミリーの掟を破ることになるぞ?』



 確かに、奴の言う通りだ。コイツを殺れば、アタシは“決して撃つな”という父の教えを無視するということになる。同時に、ローサ自体をも否定することになってしまう。

 だが、教えを守ることが本当に正しいのだろうか。仲間を命の危機に晒されても平然としているのがボスだというなら、そんな立場などアタシは要らない。



『そうね……ファミリーの信念に背くのは残念だけど、アタシは自分が正しいと思うことしかしたくないの。だから、今ここでボスの立場を失ったとしても、後悔はしないわよ?』



 揺るぎない決意に伴い、自然と口角が上がる。フランシスコがアタシの発言に驚いていることがありありと伝わってくるからだ。それでも奴は、つまらないプライドを見せつけるための引きつった笑顔で言う。



『……ファミリーの存続よりも個人的な問題を優先するとは、とんでもないボスだなぁ?お前の先祖達に同情するよ!』



 ――黙れ。心の中で呟いて、奴を睨み付ける。



『煩い男ね……“スリーカウント”で決めるわよ。』
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