bajo la luz de la luna
 背を向けて立つ荒野に、一陣の風が吹く。なびく髪を右手で押さえながら、辺りが静まるのを待った。



『……誰か、カウントをお願い。』



 そう言うと、短い話し合いが始まる。事態は緊急を要するので、すんなりと決まったらしい。



『ボス、オレが引き受けることになった。オレが最年長だからって、若い奴らが煩かったんでな。』



 見た目は20代後半、実際は40代だというグレイが、真顔で言う。いつもはジョークを交える彼も、この時ばかりは緊張しているらしい。



『……ありがとう。フランシスコ、始めるわよ。』

『あぁ、そうだな。お前の自信とやらを木っ端微塵にしてやるよ。』

『それはどうかしらね。』



 些細な睨み合いを切り上げると、見上げた空が目に入る。ふと思い出して、片目だけで群を一瞬視界に入れた。

 自らの命も顧みず、仲間のために動くことの出来る群は、やはり尊敬に値する。我が父親と、同等に。

 治療されている群に向かって、心の中で問いかける。ねぇ、アタシ、負けないから。群も信じていて。目が覚めたら、声を聞かせて欲しい。あの瞳で、笑って欲しいの。眠ったままだったら、承知しないわよ。
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