bajo la luz de la luna
「……未来、無事か……?」



 棕櫚の瞳が真っ先に捉えてくれたのは、他の誰でもない、アタシだった。思わず何度も頷いたら、優しい重低音で「頭取れるぞ」と言ってクスクス笑う。

 ――目が覚めて、本当に良かった。群はみんなを見回した後、アタシの父と視線を交わらせる。群の言葉が、日本語からスペイン語へと変わった。



『……フェルナンドさん、どうしてここに?』

『群、久し振りだな。それを今から説明しようと思っていた所だ。私は、お前達に伝えることがあってここに来た。』



 今一度、全員に視線をやる父親。彼はそれから、ゆっくりと話し始めた。



『フリアンと……フランシスコの父親と出会ったのは、もう30年以上前の話だ。当時は、将来マフィアのボスや重役になる子供を育成するための学校があってな。私達はそこで、10年近くも共に過ごしてきたんだよ。』



 ――同じ国内のファミリーということと同い年ということもあり、二人はすぐに意気投合した。ローサとソルは代々不仲だったので、表立って仲良くすることは出来なかった。しかし、たまに(父曰く“本当にたまに”)授業をサボっては屋上で語り合うなどしていたそうだ。
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