bajo la luz de la luna
『最も抗争が酷かったのは十年程前……あの事件が起こった頃だ。お前達も少しは知っているかもしれないが、あの時ベラノ一家を襲ったのは、ローサの傘下に入っていた奴らだった。あらぬ噂に踊らされて、な。』

『何なんですか、“あらぬ噂”って?』



 即座に尋ねた群に、父は頷く。息を呑んで言葉を待つアタシ達に向かって、闇の帝王と呼ばれた男は改めて口を開いた。



『……フリアンの女癖の悪さを非難していた奴らが居ただろう?あれは真っ赤な嘘だ。フランシスコに聞けば分かる筈だが、どうだ?』



 父の視線がフランシスコへ向かう。奴は何度も首を縦に振った。



『あんな噂、信じる方がおかしいんだ!父上がどんな思いであんな行動に出たのか、誰も分かろうとしなかった!!』

『お前の母親も、随分と苦しめられたんだろう?あの子も“浮気を容認するおかしな女”だと言われていたからな。フリアンの考えを何となく悟っていた私が、早く二人を援護すべきだったのかもしれん……』

『……貴様、父上の考えを?』



 驚きの顔をしたフランシスコ。アタシ達も、驚嘆して彼を見やった。
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