bajo la luz de la luna
 父が言うには、ソルの前ボスは非常に思いやりがあり、特に弱者に対してはその心を傾けていたらしい。学生時代から下級生に尊敬の眼差しを向けられており、自分を含めた同級生からも一目置かれていたという。



『あの時も、フリアンは夫に暴力を振るわれて悩んでいる女達を屋敷で保護していたのだろう?それが皆の目には愛人のように映ったようだがな。
カメリア……彼の妻も、その方針には賛成だったようだな。夫に絶対的な信頼があったからこその判断だと、私は思った。』



 そこまで言って、父は言葉を止めた。フランシスコに、改めて視線を向ける彼。かつての親友の息子を前にして、彼は問いかける。



『フランシスコ、答えてくれ。何故私の親友は殺されたんだ?』

『……僕が察するに、妻を奪われたと感じた者が集まって暴動を起こしたのだと。それがお前達の傘下に入っていた奴らだったんだろうな。』



 フランシスコの答えに、『やはりそうか……』と呟いた父。何処か遠い目をした彼を見て、不自然さが募る。まるで何かを思い詰めているような、はたまた何かを償うような、そんな表情だったからだ。
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