bajo la luz de la luna
 深く、ゆっくりと頷いた群。それを見届けてから、父はフランシスコに視線を移した。それを予測していたのか、フランシスコは言葉を待ち構えているように見える。



『……どうだ、フランシスコ。少しは私達に対する考えを変えてくれたか?』



 難しい顔をしたフランシスコ。これまで奴が信じてきたこととは違うものを突き付けられて、困惑しているのだろう。自分も同じ立場だったらと考えると、その内面も何となく察することが出来る。

 やがて、白いスーツがゆっくりと父へ歩み寄る。向き合った目と目。浅黒い掌が、父に差し出された。



『……悪かったな。』



 ただ、それだけの言葉。だが、その中にある様々な意味が読み取れた。誤解をしていたことに対する詫びや一方的な攻撃に対する謝罪が、少なくとも含まれていただろう。

 父と握手を交わし、フランシスコはこちらへやってくる。ばつが悪そうな俯きがちの瞳が、そろそろと視線を合わせてきた。



『……お前にも悪いことをしたな。あの子、妹だったのだろう?』



 ――許してやらなければいけないな、と思った。何故なら彼は、“妹みたいなもの”とは言わなかったから。
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