bajo la luz de la luna
「お前、“闘ったことがない”だろ?その闘いに邪魔なド派手な指輪は趣味かもしれないが、あんたはマフィアの手先をしてねぇ。
……ってことは、未来の影武者説が良い線行ってんじゃねぇの?」

「……ご名答です、ドン・チェーロにドン・ローサ。日本語が分かる人間が他に居そうにないのと、お二人やローサの皆様を信用してお話しします。」



 アタシの部下達はほとんど日本語が分からない筈だけど、この際どうでも良い。要はアタシと群が理解すれば、彼らに伝えられるのだ。



「僕は、ホワンの双子の弟のエリオです。兄は……三ヶ月程前のチャイニーズマフィアとの闘いで死にました。それで、僕が形だけでも影武者を……」

「そうだったの……突然こんなことになって大変だったでしょうね。きっと一般職に就いてらしたんでしょう?」



 アタシが言えば、エリオさんは頷く。群も「やっぱりな……」と言いながら彼をまじまじと見つめている。



「一卵性の双子か。どうりでなかなか見分けがつかない訳だ。ただ、声と手が判断材料になったな。」



 群が小さく笑って言えば、エリオさんがそちらに目をやる。アタシも“声”という単語に反応して彼を見やった。
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