bajo la luz de la luna
「今23の俺でさえ、“若造”だって馬鹿にされることはある。就任した二十歳の時は、どっかの弱小ファミリーのボスに『ガキに実権が握れるか!』って罵られたしな。
未来はまだ18だし、女だからもっと色々言われるだろうが……話が逸れたな。」

「今はアタシの心配より、次期ドン・クレオの心配をしてね。エリオさんも気になってるんだから。」



 アタシが言えば、群はチッと自分を戒めるように舌打ちしてエリオさんに目をやった。その表情が一瞬だけ悔しそうだったのを、アタシは決して見逃しはしない。

 自慢じゃないが、群には愛されていると思う。アタシを見つめる聡明な剣士の目は時に、“ファルコン(ハヤブサ)”の通り名を疑う程に優しいのだ。



「エリオさん、何もあんたの弟が最初から全てを背負う訳じゃねぇよ。俺達だって、初めは日本の摂関政治みたいにやってたんだ。
絶対に誰かが手を貸して、立派なボスにしてくれる。今の俺達を見ても信用出来ねぇか?」



 自信の溢れた瞳で言う群を見て、エリオさんは安堵しつつも哀しく笑う。先代のお兄さんのこともあるから心配なのだろう。彼は小さく息をつき、俯けた顔を上げることなく喋り始めた。
< 31 / 268 >

この作品をシェア

pagetop