bajo la luz de la luna
「そうですね……確かに僕は、マフィアの世界を知らない一般人も同然です。本来なら弟のルイもそうなるべきだった。
しかし、あの子は僕と違ってアルバラードの血に誇りを持っています。頭が良く腰も低いので、兄よりも良いボスになるとは思うんですが……」



 彼はたった11歳なのに、実力を発揮すれば命を狙われてしまう……呟いたエリオさんは弟を本当に心配しているようだった。だからアタシは、“ある決意”をした。エリオさんがこれから先、不安を抱くことのないように。



「……アタシ、新生クレオファミリーと同盟を組むわ。それなら何も心配ない筈よ。」

「本当ですか?ドン・ローサ。貴女のご傘下に入れるなら、弟もとても心強いです!」



 エリオさんは黒真珠のような両目をキラキラさせ、それはそれは嬉しそうに笑った。続いて群が口を開く。



「なら、ウチも同盟を組んでやるよ。色々教えてやらねぇとな。特に女の扱いを。」

「群、それこそ余計よ。間違って愛人100人作ってきたらどうするの?」

「俺が100人作ったってのか?お前一筋だって言ってんだろ。」



 慣れた手付きでアタシの黒髪を撫で、群はその手を頬に滑らせてきた。
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