bajo la luz de la luna

―la apertura del combate

「……テメェ何者だ?わざと外しただろ。」



 群も気付いていたらしく、射るような目付きをその人影に向けた。20代前半くらいの、群とそう歳の変わらない若い男。純白のスーツと黒色のシャツ。ハッキリとした目鼻立ちに漆黒の髪と瞳で、中肉中背だ。

 記憶にはないが、何故か見覚えがある。誰かの面影が――そう思った時。奴が口角を上げ、不気味な笑みを浮かべた。



「ブエナス・タルデス、エストレジャ・香桔未来。お目にかかれて光栄だよ。隣に居るのは婚約者の神小柴群だな?お前にも会えるなんて、どうやら僕は相当ツイてるらしいな!」

「……誰よアンタ。何処のファミリーの者か、名前を名乗りなさい。」

「お前か?最近新たにファミリーを創設したとかいう野郎は。噂には聞いていたが、本当だったとはな。」



 睨み合っている内に、銃声を聞きつけた部下達が屋敷から飛び出してきた。ソニアとグレイを始め、戦闘時の主要メンバーがアタシを囲むような位置に立つ。

 アタシと群の前に来たソニアが、『ボス、神小柴さん、お帰りなさい』と小声で言う。『ただいま』と答えれば笑顔が返る。その笑みも、次の瞬間には狩りに出た雌豹の表情に変わっていた。
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