bajo la luz de la luna
 すぐにやめるのだと思っていたのに、事もあろうに、群は僅かな距離をしつこいまでに縮めてきて、艶かしい虚ろな視線をアタシに注いだまま、繰り返し柔らかな愛撫を降らせてきた。

 この男はどういうつもりだ。まさか欲求不満……などと考えていると、企みを含んだ瞳がチラリとアタシを映す。その表情があまりにも“雄”だったので、不覚にも身震いしてしまい、塞がれた口の端から小さく声が洩れる。その瞬間、戸外の気配が僅かに張り詰めた。



『……ガルシア、盗み聞きとは趣味が悪いな。』

『すみません、気を利かせて一旦引き返そうとしたのですが。』

『そりゃあ悪かったな。で、何か用か?未来、ガルシアを部屋に入れるぞ。』



 アタシは頷く。ガルシアだったのか……このやり取りを聞いていて、群はつくづく意地の悪い男だと思った。ガルシアだけでなく、アタシをもからかっていたとは。扉の向こうに居た人を知っていての行為だったから、何とも腹立たしい。

 みぞおちを軽く肘で小突いてやれば、「効かねぇよ」とのお言葉。ならば強くしてやろうかという視線を向ければ、「おい、怖いぞ」と反省していないであろう返答。間もなくガルシアが入室してきた。
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