bajo la luz de la luna
『群様のお名前にはどういった由来がおありなんですか?』

『俺か?俺の名は漢字で“群れる”と書くんだが、“仲間を大切にしろ”という意味で付けたらしいな。』

『良いお名前ではないですか。わたくしの名前は起源すら分かりませんよ。意味あって付けたものだとは思いますがね……』



 吐息混じりに呟いたガルシアは、『では、食堂までお越し下さいね』と言い、丁寧にお辞儀をして部屋を後にした。彼が去ってから数十秒後、アタシと群は顔を見合わせる。どうやら、考えていることは同じだったようだ。



「……あいつ、確か両親が居なかったよな。この屋敷に来たのはいつだ?」

「一昨年よ。丁度、彼が今のアナタと同い年だった時ね。10代の頃、凶悪犯に両親と幼い妹を殺されたと聞いたけど……それまでは、一人暮らしをしながら高校・大学と通っていたそうよ。」



 ガルシアの過去に顔を歪ませる群。彼もまた、昔大切な人を失ったのだ。何年経っても忘れられないのだろう。

 中3の時、彼の目の前で親友が殺された。犯人は老若男女問わず、無差別に刺したのだと。そんな罪を犯す者達を裁くために。大切なものを守るために、彼はこの世界に入ったのだ。
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