bajo la luz de la luna
『おう、群と未来じゃねぇか!お前ら元気にしてたかぁ?
あ、このスーツどうよ!?オーダーメイドで作らせたんだぜぇ!』

『ルッツさん、煩いわ。ここは改まった場だから、静かにするのが礼儀よ。』



 ――ルッツ・フルス。ドイツのシュヴァルベファミリーの20代目ボスで、元気いっぱいな45歳だ。群に並ぶ183センチの長身で、男気溢れる人である。

 きちんと手入れされた髭とダークグリーンのスーツは清潔感があり、アッシュブラウンの短髪は空気に遊んでいる。首元の締め付けを嫌うらしい彼だが、流石に今日は黒のネクタイを結んでいた。ただ、とても窮屈そうにしていたのだけど。



『ルッツさん、お久し振りですね。相変わらず若いな。』



 流暢なドイツ語を口にしてクスリと笑いながら、アタシの手を離してルッツさんに近付いて行く群。温もりがなくなった右手が少しだけ寂しくなる。やはり彼は煙(ウモ)のようだ。

 群の言葉でルッツさんは、『いやぁ、そうか!?一回り以上も年下のお前にそう言われるとは、オレもまだまだ捨てたもんじゃねぇなぁ!』とご機嫌になる。群の肩を挨拶だと称して豪快に叩いた後、彼は若きドン・クレオに視線を移した。
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