bajo la luz de la luna
『お前がルイかぁ!生憎オレはスペイン語が下手くそでなぁ、大目に見てくれ!ま、よろしくなぁ!!』

『いえいえ、そんなことないですよ。とってもお上手です!こちらこそ、よろしくお願いします!』



 ギリリと音がしそうな程の堅い握手を交わす二人。ルッツさんの怪力に、ルイ君が顔を歪ませている。群の『ルッツさん、ルイの手が粉々になっちまうよ』という抑えた笑いで漸く気付いたおじ様。『すまねぇな、チビ助!』と爽やかに謝る。ルイ君は微苦笑しながら『お強いんですね……』と呟いた。

 間もなく式の開始を告げるアナウンスが流れ始め、ルイ君とエリオさんとは一旦別れることになった。ルッツさん達の近くに席を取ってもらっていたらしく、非常に有難い。

 シュヴァルベの皆様や近くの来賓に軽く礼をしてから、群の左隣に腰を下ろす。招待客は皆円卓に座っており、アタシの左隣にはガルシア・ソニア・グレイと続く。そういえば、群の側近が居ない。一体何故だろうか。



「……群、エンゾさんはどうしたの?」

「あぁ、今回は置いてきた。」



 健気な側近を本部に置き去りにするとは……エンゾさん、心中お察しします。
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