bajo la luz de la luna
 一歩、また一歩と前へ歩いてくる奴を、誰もが険しい目で見つめている。不敵な笑みが、アタシや群を苛つかせる。気を抜けば、眉間に皺が寄ってしまいそうだ。その代わりに、きっと殺気を放ってしまっているだろう。

 顔を強張らせている人々が取り囲む中、奴は中央までやってきて足を止める。そして、叫んだ。自らの存在を闇世に知らしめるかのように。



『新生ソルファミリーのボスである僕が祝いに来てやったんだ!感謝しろよドン・クレオ!!
……おや?お前らも来てたのか。こんな奴らの傘下に入ったとは、クレオの今後が危ぶまれるな!気を付けろよ!!』



 明らかに、アタシを見て鼻で笑いやがった。アタシの両側では、群とガルシアがピクリと眉を上げる。大規模マフィアであるローサとチェーロの前でそんな発言をしたものだから、奴は早速周りの反感を買っている。そんなことは、まるで気にも留めていないようだが。

 ルッツさんをチラリと見て、奴は『あぁ、“ツバメちゃん”も来てたのか』と小馬鹿にしたように笑う。ルッツさんが顔をしかめたのと同時。ホルダーに伸びたアタシの左手が、奴を威嚇しにかかった。
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