bajo la luz de la luna
 スペイン語圏の人間は基本的にお祭り事が好きなのだろう。かく言うアタシも食通だし、音楽を聞けば体が動いてしまう人種だから。

 乾杯の音頭が取られた後、ルイ君達クレオの面々をアタシ達のテーブルへ呼んだ。群やルッツさんを始めとした大人達がワインを吟味している中、アタシとルイ君は慎ましやかにソフトドリンクで乾杯した。



『……何だか僕達、肩身が狭いですね。』

『未成年だもの、仕方ないわ。それに、アルコールが飲めるからって別に偉い訳ではないわよ。』



 アタシの台詞を聞いた群がワインを吹きそうになった。偶然にもそれを目の端で捉えてしまい、足を軽く蹴っておく。抑えた笑い声がしたけれど、無視をした。

 すると、それに気付いたらしいアルバラード夫妻が小さく笑んだ。アタシと群を、優しく見つめながら。



『お二人の結婚式の招待状はいつ頂けるのかな?』

『私達、今か今かと楽しみに待ってるんですよ。』



 父はそろそろ構わないと言っていると伝えれば、二人は満足そうにニコリとする。ルッツさんの『オレも早く嫁が欲しいぜぇ!』という言葉で、アタシ達のテーブルは笑いに包まれた。
< 91 / 268 >

この作品をシェア

pagetop