また逢うのなら、必然で
話しかけたところで彼女は俺の事など覚えてないだろう。
向こうにとったら、呼び止められて告白されたり押し付けられたりするのはしょっちゅうっぽいし。
俺も同様の行為をされたとき、『あー、この前の‼︎』などと言って全く覚えてないのに愛想笑いをして、その場をしのいだくらいだから、人に興味のない彼女なら全く俺を覚えていないだろう。
突っ立ってぼーっと彼女を見つめていると、視線に気づいたのかこちらを振り返った。
手には『イチゴミルク』と書かれたパックが握られていた。
「えっと…?」
困ったように眉を下げ、俺の方を見ているが目が合わないということは見ているのは違うものだろう。
彼女には俺なんて映っていない、視線に入れようともしていないのだから。
「落合のこと日向ちゃんって呼んでもいいかな?
俺の事は志穂って呼んで!」
図々しいだろうか、そんなこと考えなくても彼女にとっては図々しいというよりウザいと思うのが普通だろうか。
こんなのほぼ押し切っているようなものだ。