魔法使い、拾います!
リュイにはヴァルに問い質したいことが山のようにある。同居を許した以上聞く権利だってあるはずだ。
あわよくば、婚約者の事も聞いてみたい。
怪我を負って路地裏に身を隠している時点で、訳ありなのは想像に難い。今更理由を聞いたからと言って追い出すことなど考えていないが、それは理由を聞かない選択肢にはならない。
「さて、ヴァル。話してもらおうかな。あの路地裏に居た理由。一緒に暮らす以上、私も知っておく必要があると思うの。」
「理由は聞かずに……。と、言うわけにはいかないでしょうか?」
「いかないでしょうね。」
「……そうですよね。」
ヴァルの声に力が無くなった。そしてゆっくりと瞼が閉じていく。
「主。申し訳ありません。しばらく眠らせてもらっても構いませんか?怪我は快復したのですが、安心したら疲れが少々……。」
ドサッとソファーに倒れ込むと、ものの数秒で寝息をたて始めたヴァル。その姿にリュイは子犬を見守るような感覚になる。
しばらくボーっとヴァルの寝顔を見つめていたのだが、すっくとソファーから立ち上がった。リュイはワンフロアーのダイニングの方に移動すると、疲労困憊ではぁっとため息を吐く。まだ昼下がりだというのに。
「なんでこんなことになっちゃったの……。」
自分勝手で強引で……。結局、拾う羽目になってしまった。
しかし、このがっかりした気持ちは何だろう。ヴァルに婚約者がいると知ってとても落胆した。なのに、ヴァルがこうして目の前に居ることを嬉しく感じてしまうなんて……矛盾している。
間近で見た本物の魔法にリュイはまだ夢をみているようだった。その憧れの存在の魔法使い様が、目の前でスヤスヤと眠っているなんて信じられない光景だ。しかも一緒に暮らすことになるなんて、この先を考えると衝撃が大きすぎる。
朝、家を出る時には、こんなこと想像出来ただろうか。
「ん?」
朝?家を出る?
「あーーーっ!」
やっとマーケットに行きそびれたことを思い出して、更に大きな衝撃を受けたリュイなのであった。
あわよくば、婚約者の事も聞いてみたい。
怪我を負って路地裏に身を隠している時点で、訳ありなのは想像に難い。今更理由を聞いたからと言って追い出すことなど考えていないが、それは理由を聞かない選択肢にはならない。
「さて、ヴァル。話してもらおうかな。あの路地裏に居た理由。一緒に暮らす以上、私も知っておく必要があると思うの。」
「理由は聞かずに……。と、言うわけにはいかないでしょうか?」
「いかないでしょうね。」
「……そうですよね。」
ヴァルの声に力が無くなった。そしてゆっくりと瞼が閉じていく。
「主。申し訳ありません。しばらく眠らせてもらっても構いませんか?怪我は快復したのですが、安心したら疲れが少々……。」
ドサッとソファーに倒れ込むと、ものの数秒で寝息をたて始めたヴァル。その姿にリュイは子犬を見守るような感覚になる。
しばらくボーっとヴァルの寝顔を見つめていたのだが、すっくとソファーから立ち上がった。リュイはワンフロアーのダイニングの方に移動すると、疲労困憊ではぁっとため息を吐く。まだ昼下がりだというのに。
「なんでこんなことになっちゃったの……。」
自分勝手で強引で……。結局、拾う羽目になってしまった。
しかし、このがっかりした気持ちは何だろう。ヴァルに婚約者がいると知ってとても落胆した。なのに、ヴァルがこうして目の前に居ることを嬉しく感じてしまうなんて……矛盾している。
間近で見た本物の魔法にリュイはまだ夢をみているようだった。その憧れの存在の魔法使い様が、目の前でスヤスヤと眠っているなんて信じられない光景だ。しかも一緒に暮らすことになるなんて、この先を考えると衝撃が大きすぎる。
朝、家を出る時には、こんなこと想像出来ただろうか。
「ん?」
朝?家を出る?
「あーーーっ!」
やっとマーケットに行きそびれたことを思い出して、更に大きな衝撃を受けたリュイなのであった。