魔法使い、拾います!
話す決心がついたのだろうか。ヴァルはしっかりとリュイを見据えた。
「一週間ほど前になるでしょうか。僕は魔法使いとしての命令を受けて、王の守護職に就きました。けれど、その守るべきルトアンゼ王から『王の側室誘拐未遂犯』として、追われる羽目になったのです。それで他の魔法使い達から攻撃を受けました。」
怪我をして追われている感じから、ただ事ではないとは思ってはいたが。まさか王の側室に手を出そうとした罪人だったとは。
しかし側室だなんて。この国は一夫一婦制だ。例え王でも側室を持ってはいけないのではないだろうか。
「でも、信じてください。これは冤罪です。僕は何も知らず、そして今も何も分からない。ただ言えるのは、真の犯人が王だという事です。」
「え……。」
「王は……。ティアを……。」
余程いいたくないのであろうか。ヴァルは口をつぐんだ。
「僕の婚約者を、王は秘密裏に自分の側室にしたようなのです。」
ヴァルは感情が昂ったのか、握った両手のこぶしをドスンとテーブルに叩きつけた。思わずビクリとしてしまう。ヴァルの静かな口調が逆に怖さを煽る。
「ティアは僕に会いたいと、密書を送ってきました。例え相手がルトアンゼ王だとしても、僕はどうしてもティアに会いたい。会って真相を確かめなければいけないのです。」
ヴァルはリュイに、これは冤罪だと言った。きっと本当の事を言っているのだろう。青い炎のような静かな怒りが、こんなにもひしひしと伝わってくるのだ。とても嘘をついているようには思えない。
「一週間ほど前になるでしょうか。僕は魔法使いとしての命令を受けて、王の守護職に就きました。けれど、その守るべきルトアンゼ王から『王の側室誘拐未遂犯』として、追われる羽目になったのです。それで他の魔法使い達から攻撃を受けました。」
怪我をして追われている感じから、ただ事ではないとは思ってはいたが。まさか王の側室に手を出そうとした罪人だったとは。
しかし側室だなんて。この国は一夫一婦制だ。例え王でも側室を持ってはいけないのではないだろうか。
「でも、信じてください。これは冤罪です。僕は何も知らず、そして今も何も分からない。ただ言えるのは、真の犯人が王だという事です。」
「え……。」
「王は……。ティアを……。」
余程いいたくないのであろうか。ヴァルは口をつぐんだ。
「僕の婚約者を、王は秘密裏に自分の側室にしたようなのです。」
ヴァルは感情が昂ったのか、握った両手のこぶしをドスンとテーブルに叩きつけた。思わずビクリとしてしまう。ヴァルの静かな口調が逆に怖さを煽る。
「ティアは僕に会いたいと、密書を送ってきました。例え相手がルトアンゼ王だとしても、僕はどうしてもティアに会いたい。会って真相を確かめなければいけないのです。」
ヴァルはリュイに、これは冤罪だと言った。きっと本当の事を言っているのだろう。青い炎のような静かな怒りが、こんなにもひしひしと伝わってくるのだ。とても嘘をついているようには思えない。