魔法使い、拾います!
「では、いただきましょう。」

神に祈りを捧げると二人は早速食事を始めた。

「ねぇ、私にも修行している所を見せてよ。魔法使いの修行ってどんなことをするの?暗くて周りがよく見えないのに、修行なんて出来るの?」

「どんなシチュエーションでも護衛できるように、暗いからこその修行なのです。それに、見たって面白くも何ともないですよ。修行なんて言うと仰々しいですが、軽い自主練みたいなものですからね。」

「えー、でも興味ある。だって魔法使いの自主練だよ?」

「まぁいいですけど、きっとがっかりしますよ。」

「がっかりって……。例えばどんなことをするの?」

「すごく普通です。精神統一とか筋トレとかですかね。」

「え…筋トレ!?筋トレするの?こう…ブワァとか、ヒューンとかは?」

「ないです。」

「ないの?」

ヴァルは行儀悪く、手にしていたスプーンを魔法の杖の如くリュイに向けた。

「……。僕、言いましたよね?面白くもなんともないって。」

朝の暗いうちから修行だなんて凄いなって思っただけなのに。余計なことを言ってしった。でもまさか魔法使いの修行が筋トレだったとは驚きである。ここは名誉を挽回しないといけない。

「私、がっかりなんてしてないからね!」

意気込んで出した言葉が非常に陳腐で、むしろ自分にがっかりだ。

「それは結構。」

たぶん……呆れられたようである。
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