魔法使い、拾います!
「それよりさ、話を聞いたからにはグレンも協力してくれるよね。ヴァルをティアさんに会わせてあげるには、どうしたらいいと思う?」
渋るグレンを押し切って、リュイはぐいぐい詰め寄った。相手がたとえ王であろうとも、ヴァルの力になりたいのだ。あの手この手で説得しないと。
それを見ていたヴァルは傍観を決めこんでいる。今は下手に口を出さない方が賢明だと判断したようだ。
「あのな?どこの馬の骨とも分からない奴のために王を敵に回すのか?俺は気が乗らないね!そもそも図々しくリュイの家に居候しようとしているくせに、誰よりも偉そうなのが気に入らない!」
「ちょっとグレン、そんな言い方ないでしょう。何度も言うけど、ヴァルは魔法使い様なんだよ。正真正銘、すごく偉いんだよ。」
「偉そうにしていたつもりはなかったのですが、そう思われてしまったなら仕方がありません。よく考えれば王を敵に回すなど、グレンにしてみたら迷惑な話です。ここはグレンに頼らず、僕と主の二人だけで協力して成し遂げましょう。」
リュイの手を握り、ヴァルがグレンを見てニヤリと笑った。この視線だけでグレンを挑発するには十分だったようである。案の定、かっとなったグレンはつい口走ってしまった。
「俺もやる!やってやるよ!やればいいんだろう!」
こうしていとも簡単に、グレンはヴァルの術中にはまったのである。