魔法使い、拾います!
解放された髪を撫でながら、恐る恐るリュイは小さな声で答えた。恥ずかしさと恐れ多さで、会話することすら躊躇われる。
「と……当然ですよ。この国の者なら誰も近寄ったりしないです。憧れの、ま…魔法使い様に近寄るなんて……恐れ多くて。」
「あぁ……。」
ヴァルはその言葉に少々うんざりした様子で続けた。
「勘違いしないで下さい。魔法使いは王族を守護しているのであって、王族ではないのです。それに魔法使いは単に僕の職業。必死に訓練を受けて勉強をしたというだけの、至って普通の人間ですよ。まぁ確かに生まれ持った資質が関係するようですが、でも僕たちは王族ではない。だからそういう理由で避けられるのは、逆に傷つきます。」
しょんぼりとした顔で見つめられ、リュイは少し反省した。しかし雲の上の存在である王族を、命を張って守っている人達だ。やはり魔法使いとは憧れられて当然の存在ではないだろうか。
などとリュイが困惑していると、思いもかけない言葉がヴァルの口から漏れた。
「ねぇリュイ。もう一度言わせてもらいますが……。僕を拾ってくれませんか。」
「拾いません、て。」
まさか、本気だったとは。しかし自分を拾えとはどういう意味であろうか。
「実は僕、帰る所を無くしまして。宿無しなんですよ。」
傷も痛むのであろう。ヴァルは辛そうな表情で無理矢理明るい笑顔を作って見せた。
そんな相談を持ち掛けられても困ってしまう。確かにケガをしていて同情はするが、リュイに魔法使いを拾って帰ることなど出来るはずがない。そもそも魔法使いともあろう人物が、どうして路地裏でケガをして倒れているのか。それ自体が疑問である。
しかし今は、ヴァルの体の心配をすべきであろう。明らかにヴァルの顔色が、さっきよりも悪くなっているのだ。
「と……当然ですよ。この国の者なら誰も近寄ったりしないです。憧れの、ま…魔法使い様に近寄るなんて……恐れ多くて。」
「あぁ……。」
ヴァルはその言葉に少々うんざりした様子で続けた。
「勘違いしないで下さい。魔法使いは王族を守護しているのであって、王族ではないのです。それに魔法使いは単に僕の職業。必死に訓練を受けて勉強をしたというだけの、至って普通の人間ですよ。まぁ確かに生まれ持った資質が関係するようですが、でも僕たちは王族ではない。だからそういう理由で避けられるのは、逆に傷つきます。」
しょんぼりとした顔で見つめられ、リュイは少し反省した。しかし雲の上の存在である王族を、命を張って守っている人達だ。やはり魔法使いとは憧れられて当然の存在ではないだろうか。
などとリュイが困惑していると、思いもかけない言葉がヴァルの口から漏れた。
「ねぇリュイ。もう一度言わせてもらいますが……。僕を拾ってくれませんか。」
「拾いません、て。」
まさか、本気だったとは。しかし自分を拾えとはどういう意味であろうか。
「実は僕、帰る所を無くしまして。宿無しなんですよ。」
傷も痛むのであろう。ヴァルは辛そうな表情で無理矢理明るい笑顔を作って見せた。
そんな相談を持ち掛けられても困ってしまう。確かにケガをしていて同情はするが、リュイに魔法使いを拾って帰ることなど出来るはずがない。そもそも魔法使いともあろう人物が、どうして路地裏でケガをして倒れているのか。それ自体が疑問である。
しかし今は、ヴァルの体の心配をすべきであろう。明らかにヴァルの顔色が、さっきよりも悪くなっているのだ。