魔法使い、拾います!
「それにしても、東の守護長の名が泣くわね。着任早々、城を追われる身になるなんて。」

守護長とは城に仕える魔法使い達を束ね、王を直接警護する任に当たる、魔法使いの中でも四人しかなれない、トップクラスのエリートだ。

「え?守護…長…?ヴァルが?四守護長の一人なの?そう言えば……。ハラの路地裏でも守護長どこですかって、探されていたよね?マントも一際立派だし。」

「ええ、まぁ、一応。」

「おいおい、なんだよ!だからやたらと偉そうなのかよ!てか、お前の立場なんかどうだっていいし。おいお前!一晩何も無かったんだろうな!?リュイに手を出したら、ただじゃ置かないからな!」

グレンがヴァルを見る冷たい目は、どうやらそれを気にしていたからのようだ。改めてグレンの過保護を笑ってしまう。婚約者を助けるためにここに居るヴァルと、何かあるはずがないではないか。

それに付け加え守護長だったとは。魔法使いというだけでも身分が違うのに、守護長といえば雲の上のお方だ。憧れる事すらも許されない気がする。

「あのね、何かあるわけないでしょう?次にその話を持ち出したら帰ってもらうからね!」

しゅんと小さくなるグレンを一睨みして、リュイはヴァルに向き合った。

「で、ヴァル。どうするの?」

「北の守護長はティアの父上ですから、おそらく杖を取り上げられた状態でそこに居ると推測できます。ですから自力での脱出は難しいでしょう。ところでララ、賛成派というのは、魔法使い達だけなのでは?」

「さすが守護長様ね。賛成派は魔法使いだけって噂よ。」
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