魔法使い、拾います!
「ヴァルじゃないんだね。」

どうしてこんな言葉を言ってしまったのか。せっかく迎えに来てくれたグレンに失礼だ。

「リュイ。そんなにあの魔法使いの事が好きなのか?」

「好き?そんなわけないよ。だってヴァルには婚約者がいるんだよ。私はただ……一緒に居たいと思っただけだよ。」

「だから!一緒に居たいのは好きだからだろ?」

「好き?好き……なのかな……。私、ヴァルの事が好きなのかな。だから一緒に居たいって思うのかな?ねぇグレン。私ヴァルのこと好きなのかな?」

何故だろう、ジワリと目頭が熱くなる。

「まったくお前は……本当にどうしようもない奴だな。一緒に居たいなんて、理由はそれしかないだろう。」

グレンは今にも涙がこぼれそうなリュイの頬を一撫でしてから、きつく抱き寄せた。ずっと抑えてきた感情が抑えられなくなる。離したくない。誰にも渡したくない。

ヴァルの出現でグレンは相当焦っていた。だからだろう。今まで大事に育んできたリュイとの関係を前進させるべく、時期尚早の決断をしてしまう。

「俺だってお前と一緒に居たいよ。ずっと昔から好きだったから。お兄ちゃんとしてとかじゃないぞ。俺の好きはそういうんじゃないからな。」

「え……。」

「だから!リュイの事を男として好きなんだよ。婚約者がいる魔法使いのことなんて忘れろよ。そんな奴忘れてずっと俺と一緒に居てくれ。俺、リュイじゃなきゃダメなんだ。俺がリュイを幸せにするから。……結婚してくれ。」

「結婚!?結婚って……。私と……?」
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