魔法使い、拾います!
第四話 王と王妃と側室と
リュイの家のリビングでは、ヴァルとララが二人の帰りを待っていた。普段ならお喋りの絶えないララも、無言でソファーに座っている。
しかし、静寂だったのも束の間。身を乗り出してララがヴァルに問いかけた。
「ねぇ、兄さんに行かせて良かったの?本当はあなたがリュイを追いかけて行きたかったんじゃない?どうして兄さんの制止を振り切らなかったの?」
「僕には婚約者がいます。今はティア以外のことを想うべきではない。グレンに止めてもらって感謝しています。」
実はリュイが飛び出した時、真っ先に後を追おうとしたのは誰あろうヴァルであったのだ。しかし、グレンに肩を掴まれて我に返ることが出来た。……自分は自制心をなくしていたと。
連れて行ってとリュイに言われた時、ヴァルは連れて行きたい衝動にかられた。と、言うよりは、行きたくない衝動にかられたというべきか。
このままリュイと一緒に居たいと、ヴァルも思ってしまったのである。しかし、同志であり、姉であり、婚約者であるティアを見捨てるわけにはいかない。
「しかし遅いですね。何かあったのでしょうか?」
「!!!」
突然、下を向いていたヴァルが勢いよくソファーから立ちあがった。そしてララに向かって叫ぶ。
「今、この近くで魔法が使われました!しかも強力な移動の魔法です!まさか……師匠が……。」
ヴァルが駆けだそうとした時、階段からグレンが顔を出した。
「グレン!主は!?主はどこです!?」
「逃げられた。悪い……。追いかけることが出来なかった。」
「くそっ!主が危険です!」
ヴァルは家の中での着用を控えていたマントを羽織り、一目散に階段を下りた。感じた魔法が自分の思い過ごしであってほしいと祈りつつ、外へと飛び出す。
しかし、静寂だったのも束の間。身を乗り出してララがヴァルに問いかけた。
「ねぇ、兄さんに行かせて良かったの?本当はあなたがリュイを追いかけて行きたかったんじゃない?どうして兄さんの制止を振り切らなかったの?」
「僕には婚約者がいます。今はティア以外のことを想うべきではない。グレンに止めてもらって感謝しています。」
実はリュイが飛び出した時、真っ先に後を追おうとしたのは誰あろうヴァルであったのだ。しかし、グレンに肩を掴まれて我に返ることが出来た。……自分は自制心をなくしていたと。
連れて行ってとリュイに言われた時、ヴァルは連れて行きたい衝動にかられた。と、言うよりは、行きたくない衝動にかられたというべきか。
このままリュイと一緒に居たいと、ヴァルも思ってしまったのである。しかし、同志であり、姉であり、婚約者であるティアを見捨てるわけにはいかない。
「しかし遅いですね。何かあったのでしょうか?」
「!!!」
突然、下を向いていたヴァルが勢いよくソファーから立ちあがった。そしてララに向かって叫ぶ。
「今、この近くで魔法が使われました!しかも強力な移動の魔法です!まさか……師匠が……。」
ヴァルが駆けだそうとした時、階段からグレンが顔を出した。
「グレン!主は!?主はどこです!?」
「逃げられた。悪い……。追いかけることが出来なかった。」
「くそっ!主が危険です!」
ヴァルは家の中での着用を控えていたマントを羽織り、一目散に階段を下りた。感じた魔法が自分の思い過ごしであってほしいと祈りつつ、外へと飛び出す。