魔法使い、拾います!
「えーと……とりあえず傷の手当が先だよね。ほら、お医者様のところに行こう。立てる?」
リュイはこの話の矛先を変えたくて、つい砕けた口調で話しかけてしまった。まずい!と焦り、咄嗟に口を押える。そして一歩二歩とヴァルから少し距離を置いた。
ヴァルの方を見やると、リュイはまたもや深い紺碧の瞳と視線がぶつかった。急な口調の変更に多少驚いている感じはするが、今の無礼を怒っているような素振りは感じられない。むしろ嬉しそうにも見える。
しかしどうだろう。リュイを見つめる紺碧の瞳は、余裕がなくてドキドキしている自分の気持ちを見透かしているようではないか。素敵な魔法使いを目の前にして居たたまれないリュイは、頬を赤く染めてプイとそっぽを向いた。
そしてすぐに、ちらりとヴァルを確認する。
「せっかくのご厚意なのですが、医者には行けない事情がありまして。どうせ僕は拾われるんです。だからリュイのご自宅へ連れて行ってはもらえませんか。」
「え?自宅?」
「はい。ご自宅へ。」
初対面の女の子に向かって自宅へ連れて行けとは、いかがなものか。丁寧な言葉使いに惑わされてしまうが、これはかなり強引だ。
しかしどうしても有言実行したいヴァルは痛みに耐えてゆっくりと立ち上がり、逃がさないと言わんばかりにリュイの肩越しからがっしりと腕を回してきた。
「重っ!」
ずしりと体を預けられリュイは思わず声が漏れた。膝まであるゆったりとした藍色のマントを羽織っていて分からなかったのだが、ヴァルはとてもガッチリとしていて背も高く少し驚いてしまった。
「光栄です。リュイのお宅へ連れて行ってもらえるなんて。僕のことを拾ってくれるということですよね?そういうことですよね?ねっ?……ねっ?」
「だから拾わないって言っているでしょ。ちょっと、離れて……。」
「またまた。そうは言っても拾ってくれるのでしょう?僕をこの場に見捨てるなんて、リュイには出来ませんよね?」
「見捨てないけど、拾わないから!」
「いやだなぁ。本心を言ってくださいよ。拾ってくれますよね?」
リュイはこの話の矛先を変えたくて、つい砕けた口調で話しかけてしまった。まずい!と焦り、咄嗟に口を押える。そして一歩二歩とヴァルから少し距離を置いた。
ヴァルの方を見やると、リュイはまたもや深い紺碧の瞳と視線がぶつかった。急な口調の変更に多少驚いている感じはするが、今の無礼を怒っているような素振りは感じられない。むしろ嬉しそうにも見える。
しかしどうだろう。リュイを見つめる紺碧の瞳は、余裕がなくてドキドキしている自分の気持ちを見透かしているようではないか。素敵な魔法使いを目の前にして居たたまれないリュイは、頬を赤く染めてプイとそっぽを向いた。
そしてすぐに、ちらりとヴァルを確認する。
「せっかくのご厚意なのですが、医者には行けない事情がありまして。どうせ僕は拾われるんです。だからリュイのご自宅へ連れて行ってはもらえませんか。」
「え?自宅?」
「はい。ご自宅へ。」
初対面の女の子に向かって自宅へ連れて行けとは、いかがなものか。丁寧な言葉使いに惑わされてしまうが、これはかなり強引だ。
しかしどうしても有言実行したいヴァルは痛みに耐えてゆっくりと立ち上がり、逃がさないと言わんばかりにリュイの肩越しからがっしりと腕を回してきた。
「重っ!」
ずしりと体を預けられリュイは思わず声が漏れた。膝まであるゆったりとした藍色のマントを羽織っていて分からなかったのだが、ヴァルはとてもガッチリとしていて背も高く少し驚いてしまった。
「光栄です。リュイのお宅へ連れて行ってもらえるなんて。僕のことを拾ってくれるということですよね?そういうことですよね?ねっ?……ねっ?」
「だから拾わないって言っているでしょ。ちょっと、離れて……。」
「またまた。そうは言っても拾ってくれるのでしょう?僕をこの場に見捨てるなんて、リュイには出来ませんよね?」
「見捨てないけど、拾わないから!」
「いやだなぁ。本心を言ってくださいよ。拾ってくれますよね?」