魔法使い、拾います!
「おい、魔法使い!!」

遅れて到着したグレンとララがはぁはぁと荒く呼吸を乱していた。

「リュイは?危険ってどういうことだ?」

ヴァルは硬い表情を崩すことなく、淡々と言ってのけた。

「申し訳ありません。主は移動の魔法で王宮へ連れて行かれたようです。ですから僕は、これから主を連れ戻しに行ってきます。」

そう言うと、ヴァルはマントの内側から杖を取り出した。

「ララ、貴重な情報をありがとう。……移動。」

そう言い残し、ヴァルは二人の目の前から消えた。

「なんだよ、あいつ!格好つけやがって。あんな奴を泊めたせいで、リュイが巻き込まれたんじゃねぇか。何が魔法使いだよ!心の底から気に入らないんだよ!たった何日かの付合いしかないくせに図々しい。魔法でリュイを迎えに行くなんて、卑怯じゃないか!」

「兄さん、落ち着いて。自分が助けに行けないからって拗ねないで。……で?リュイには振られたのね?」

「まだ振られてない!逃げられただけだ!」

察しのいい妹に辛辣な言葉を投げかけられて、グレンはわなわなと肩を震わせた。
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